フェルデンクライス・メソッドについて
フェルデンクライスメソッドは、イスラエルの物理学者モシェ フェルデンクライスによって開発された、体の動きを通して脳の働きを活性化し、能力を引き出す「学習」の方法です。人間が成長過程で、動きを学び、そして動きを通してあらゆることを学ぶシステム、そのシステムに基づいて開発されています。
幼児は身体全体をつなげて、ひとつのまとま
りとして動いています。しかし成長するごとに部分部分を動かせるようになり、複雑な動きが出来るようになります。自由で自然な動きよりも後天的に覚えた動き、ボタンを掛け違えたような、身体的に不都合な動きが強くなってくることも多々あります。
レッスンは、「楽に」「心地よく」「ゆっくり」という形容があてはまるシンプルな動きが基本です。
フェルデンクライス メソッドでは体を動かしますが、動きは手段であり、単なる動きの繰り返しではありません。
体の動きを通して私達の習慣的な体の動きが、どれほどパターン化し硬直化しているか気づき、「動きと感覚」に注意を向け続けることで、機能的で効率のよい動き、ダイナミックで、優雅で、無駄のない動きをする能力を再開発していきます。
この一連の動きを通して得られる「気づき」は、単に動きを良くすることに留まらず、脳や神経系を刺激し、活性化し、筋肉、骨、循環器系の機能の回復、バランスのとれた質の高い動きが自然に身についていきます。そして更に自己イメージを現実化していく働きもあります。
2つのレッスン方法について
レッスンにはATMと呼ばれるグループレッスンと、FIと呼ばれる個人レッスンの2つの方法があります。どちらも心地よい動きを繊細に探求していことに変わりはありません。レッスンの背景にあるものは同じです。
●ATM(Awareness Through Movement 動きを通しての気づき)
言葉かけによって行われます。基本的に動きの見本を(視覚的に)示すことはありません。人の動きを真似るのではなく、
言葉かけを聞いて自分自身の身体内部 感覚を頼りに、自分の気持ちの良い動きを探究します。それが“脳”の神経システムにアプ
ローチしていくことになるのです。
● FI(Functional Integration 機能的統合)
グループレッスンが言葉かけによって導かれるのに対して、個人レッスンは、 プラクティショナーの手によって導かれるレッスンであると言えます。柔らかなタッチと穏やかな動きで「気づき」と「学び」をガイドし、脳の神経システムに働きかけて動きの再学習を促すものです。整体やマッサージ、ストレッチなどのように、揉んだり引っ張ったりというような無理な強い刺激をあたえることはありません。常に心地よく、動きを楽しむことが重要だからです。そして単に受けるだけではなく一緒
に動いたり、動いていただいてその動きについていったりというに、その時に合った方法で、動きを用いて
感覚にアプローチしていきます。個人レッスンはまさにプラクティショナーとの 共同作業であるとも言
えます。
レッスンの特徴について
フェルデンクライスの動きは、誰にでも簡単にできます。普段無意識におこなっている無駄な動きや、力の使い方に気づきながら、どうすれば無駄な力を使わず、効率よく、気持ちよく動くことができるかを探るように、ゆっくり、優しく、穏やかで、静かに動きます。筋肉の力を使うことをできるだけ少なくして、力を抜いて、楽な動きをします。次から次へと連続して動くのではなく、動きと動きの間には必ず休みを入れ、たっぷりと時間をかけます。動きを評価しません。他人と比べません。人の動きを見てそれをコピーするのではなく、自分のやっていること、感覚に注意を向け続け心地よい動きを探していきます。
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小さく、ゆっくり動く
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楽で快い動きをする
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一生懸命に頑張らない
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動きを楽しんで、自分で発見する
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動きと動きの間には休憩を入れる
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からだの感覚の変化に注意をむける
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機械的な反復練習にならないようにする
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イメージを使う
レッスンの効果について
動きを用いて脳を刺激し神経システムを再構築するフェルデンクライス メソッド。その効果はオールマイティ。同じレッスンを受けていても、受ける感覚は人それぞれ、その効果も人それぞれ。それはとても不思議で、面白い現象です。
一般的な効果としては・・・
・痛みを和らげる
・柔軟性を高める
・姿勢の改善
・ストレスレベルを下げる
・回復のプロセスを高める
・老化の影響を最小限に抑える
・動的な姿勢を発見する
etc・・・
そして様々な分野で活用されています。例えば・・・
・健康づくりと老化予防のため
・ストレスから心や身体を解き放つため
・高齢者の自立生活実現のため
・ダンス・演劇・音楽など芸術系の表現力・創造力の開発向上のため
・スポーツ・武道などの動作の安全性・効率性向上のため
etc・・・
日本ではまだ馴染みのないメソッドですが、性別や年齢に関係なく様々な分野でその効果が認められ、取り入れられています。そしてこれからの健康長寿時代、ますますこのメソッドの需要は増え続けることでしょう。